PRP療法:しわ、若返りの効果?

当院でも、PRP療法(多血小板血漿)をおこなおうと、専門の医療業者を呼んで説明会を開いてもらったのですが、あまりにも効果が乏しいために採用を見送りました。その事実を報告します。

世間でおこなわれている、PRP療法とは、自分の血をとって、血小板という部分を分離して、顔のしわなどの部分に注射しなおすと、しわが薄くなったり、若返る、というものなのですが、もっとも権威のあるPRP療法の医療業者によると、

●効果はわずか半年。
●効果のある人は、わずか50%以下。
●効果が出るのには、1ヶ月かかる。
●クリニックによっては、血小板とコラーゲンをまぜて注射して、1ヶ月の効果の無い期間を効果があるように見せかけているところもある。自己組織の注射なのに、異物であるコラーゲンを入れるとは本末転倒です。
●まだ開発途中であるが、たくみな宣伝で効果がすごくあるように、宣伝しているのは困る。

とのことでした。これらの裏事情を聞いたら、さすがに当院としても見送らざるを得ない結果です。ヒアルロン酸の注射のほうが、1年程度もつのに、PRPだと半年だなんて。金額も、PRP療法のほうがヒアルロン酸より高いのですから、まったく開発途上な治療であきれました。

医学論文的には、Platelet-Rich Plasma : A Review of Biology and Application in Plastic Surgery : PRS Vol 118 147 にあるように、傷の治癒などにはたいへん効果のある血液成分ではありますが、まだ、プチ整形や、しわとりなどの若返りには、結果の伴いにくい方法ですね。

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  1. 2008/06/02(月) 05:05:38|
  2. 老化(アンチエイジング)

胸を小さく:女性から男性への治療

今回は、当院でもほとんど扱うことのない、胸を小さくする手術に関して、ベルギーの大学の泌尿器科、形成外科、精神科の合同の報告です。性同一性障害の患者さんたちが治療のメインとなっております。

女性から男性への手術のひとつとして、胸を小さくするものがあり方法がいろいろ胸のタイプにより異なります。92人に5つの方法でおこなった。

どんな方法があるかというと、
1:乳輪にそって半分切って、乳腺を取り出すもの。胸が小さい人におこなう。
マンマ縮小6
2:やや胸のある場合は、乳輪をドーナツのように切り取り、縫いちじめる。皮膚と乳腺を取る。
マンマ縮小3
3:ある程度の大きさと、皮膚の弾力性がなく垂れ下がっている場合は、皮膚もわりと切除しないといけない。なので傷も大きめです。
マンマ縮小4
4:胸が大きく、垂れ下がっているタイプでは、胸の下から大きく切り取ります。傷跡も最大。
マンマ縮小5


などの5つの方法があるのですが、患者さんの多くは、下図のように、バンド(さらし?)をまいていることが多く、胸がたれていることが多いそうです。
マンマ縮小2


結論的には、下図のチャートで手術方法を決定する、とのことでした。
マンマ縮小1


合併症は、12.5%あり、血がたまったり、再手術したりした、とのこと。皮膚が垂れている人がむつかしい、とのことでした。
男性でも女性化乳房といって、病気で胸が大きくなる場合もありますので、そういう治療とにています。

PRS Vol 121 849 Chest-Wall Conturing Surgery in Female- to-Male Transsexuals : A New Algorithmより。

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  1. 2008/05/27(火) 23:25:14|

タバコと傷跡の感染の関係例:おなかのたるみ取り

喫煙は、傷に悪影響を与えることは以前から、フェイスリフトなどの合併症として報告されておりましたが、今回は、傷へのばい菌による感染がタバコとどう関係するかを、イギリスの一般病院とイタリアの大学病院のドクターたちが報告しました。

腹壁形成(簡単に言えば、”おなかのたるみ取り”です)をおこなった84人の患者さんで調査した。

結果は、13人(=15.5%)が手術後に感染し、そのうち12人が喫煙者であった。

具体例:53歳女性、20年間、1日30本吸っていた。おなかのお肉とたるみを取った後の縫い目が開いて傷が汚くなっている。へそもあたらしく作るので、へそもばい菌にやられている。
腹壁しかい


過去の報告では、実に、喫煙者の47.9%が、傷の治癒に問題があった、というドクターもいた。今回の報告は、15.5%だったが、4週間前から喫煙を中止してもらっていて、この数字である。

とにかく、喫煙していて何も得しない、ということですね。皆さんも手術前は、禁煙して来院してください。

PRS Vol121 305e Wound Infections in Aesthetic Abdominoplasties : The Role of Smokingより。

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  1. 2008/05/21(水) 12:49:19|
  2. 老化(アンチエイジング)

顔の骨格の老化:老化すると顔の骨がどうなるか?

顔の老化は、たるみ、頬のくぼみ(こけ)、しわ、などで作られてきますが、じつは、骨=頭蓋骨も老化により変化してきます。いろいろな論文報告がありますが、今回は、カリフォルニアのスタンフォード大学からの報告です。

30人の男性、30人の女性の3DCT(=顔の骨の立体画像)、合計60人の白人で調査。いろいろな顔面の角度を測定した。
骨格の老化1
上図のように、
1:眉間の角度
2:鼻の骨の角度
3:頬の骨の角度
を若い人々、年配の人々のCT画像で、測定して比較した。

結果
●眉間の角度、頬の骨の角度は、男女とも年齢が行くにしたがって、とがっていく(角度が低下した)。
●鼻の骨の角度は、目だった変化が無かった。
●下図のごとく、鼻の骨の面積部分は老化するにしたがって、面積が大きくなった。
骨格の老化2


これらの結果を得て、スタンフォード大学形成外科の著者たちの考察は、
●眉間の骨の角度がシャープになることにより、上まぶたのたるみがいっそう強まる。
●頬の骨の角度が低下することも、頬のコケを生じさせたり、法令線(ほうれい線:口の横のしわ)を悪化させたりする。
●鼻の骨の面積が増加することにより、以前学習した鼻の老化が促進されるのではないか。

と、考察しておりました。今回は、なかなかアンチエイジング治療をおこなう医師にはいい論文でありました。
PRS Vol119 675 Aging of the Midface Bony Elements : A Three-Dimensional Computed Tomographic Studyより。

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  1. 2008/05/16(金) 00:33:21|
  2. 老化(アンチエイジング)

危険!?豊胸のための脂肪注入

日本でも胸を大きくするための脂肪注入をおこなっている病院がいくつかあります。しかし、アメリカでは、1987年に、アメリカ最高の権威ある学会、アメリカ形成外科学会で胸への脂肪注入禁止宣言が出ております。20年以上も前から禁止宣言が発表されておりますが、いまだ日本で、その危険性を無視しておこなっている病院がいくつもあります。

禁止する理由は、
”乳がんの検査をするときに、移植した脂肪が邪魔になって、癌なのかどうかがわからない”というものです。
この考えが20年以上にわたりアメリカ、日本を支配しております。が、先日、アメリカで胸の脂肪注入(移植)をすこし肯定する論文が発表されたのですが、その後、それへの批判の論文も多く発表されました。今回は、そのうちのひとつで、日本からのものを報告します。

日本医科大学形成外科学教室からの報告を下記にまとめます(ちなみに、ここの形成外科教室は異物治療の研究・検索で有名です)。

●先日、掲載されたアメリカの胸の脂肪注入の論文には、マンモグラフィーが載っていなかった。うまく、うつくしく胸が大きくなっていた写真は載っていたが、乳がんの発見の重要なレントゲンである、マンモグラフィーの写真を載せないのは、論文としてダメだ。

●日本医大でも15例ほど、胸に脂肪注入移植したが、下図のマンモグラフィーのように、石灰化したレントゲンになって患者さんも悩んでいる。
マンモグラフィー
白い小さなツブツブが石灰化。乳がんでもこのように写るので、間違えやすい。
日本医大の症例でも全患者のマンモグラフィーで腫瘍のような影が写っていた(マンモグラフィー、CT、MRIで)。

●患者さんは、安易に脂肪注入をして、術後に鬱状態になったりもしてしまう。

以上のことから、胸への脂肪注入を肯定するような論文が、未熟な医師や儲け主義の医者を正当化するものであってはならない、としております。
当院もまったくこの考えに賛同しており、安易な脂肪注入は控えるべきだと考えます。結局、困るのは、患者さんたちなのです。

PRS Vol 121 702 Fat Grafting to the Breast より。

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  1. 2008/05/09(金) 01:04:11|



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